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化学療法基盤支援活動について

化学療法基盤支援活動は、文部科学省・新学術領域研究『がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動』の一端を担い、新規抗がん剤開発を行う研究者に細胞レベルからin silicoまで多彩な活性スクリーニング基盤を提供して国内での革新的がん治療薬開発の総合的支援を行います。本支援は、化学療法基盤支援活動の定めるルールに則り、無償で提供されるものです。
具体的には、以下の 3項目からなります。

I. 抗がん剤のシードとなる分子標的阻害物質の探索と評価(化合物評価)

新規化合物について活性評価をおこなうサービスです。新規化合物を持っているので、その生理活性を見たいがその手段がない、という研究者への研究支援です。新規化合物をお預かりし、抗がん剤としてのポテンシャルを複数の評価系により判定します。活性評価の申し込みと報告は、ウェブ経由でおこなわれます。このサービスを利用される場合、原則として当該化合物の構造と活性は公表されます。ただし、公表に際しては、一定期間経過後とするなど権利関係への配慮がなされます。さらに、新規化合物を当支援班の化合物ライブラリーに寄託することによって、アカデミアのがん研究者の行うさまざまな生物活性評価を受けられます。以上により、新しい抗がん物質の探索を推進します。

II. 標準阻害剤キット・化合物ライブラリーの構築・整備とその提供

バイオロジストに化合物を提供するサービスです。新しい創薬ターゲットについて研究中でその阻害剤を探索したいが、化合物ライブラリーがない、あるいは、注目するバイオロジーの系を研究するため、解析に有用なサジェスチョンがほしい、という研究者に、3種の化合物ライブラリーを提供します。すなわち、創薬シード化合物の探索やケミカルバイオロジー研究の支援を行います。提供する化合物ライブラリーは以下の3種です。 

  1. 標準阻害剤キット:約350種類の既存抗がん剤・阻害剤
  2. 寄託化合物ライブラリー:上記I(化合物評価)に伴い寄託された新規化合物 (現状約300化合物)
  3. 化学療法パイロットライブラリー:理化学研究所・天然化合物バンク(NPDepo)との連携により提供される化合物 (約500化合物)

創薬シード化合物の探索には、1)〜3)を、ケミカルバイオロジー研究には1)をお使い下さい。初めて利用される方には、1)の利用をお勧めします。また、2)の利用は、バイオロジストとケミストの新たな出会いをアレンジするもので、研究者間のネットワーク拡大を支援するものです。3)での評価結果に基づいて、理化学研究所・NPDepoからの研究支援(化合物の追加提供)を受けることもできます。

本サービス利用者の義務は、提供後6ヶ月目にユーザーレポートを提出いただくことです。また、1)標準阻害剤キットの利用者には、本キットの阻害剤のいずれかに新たな生物活性を見出された場合には、特許出願、論文発表などの優先権を確保された後、その情報を当支援班ホームページで公開することをお願いしています。新たな生物活性情報を集積し、その情報を研究者にフィードバックすることにより、本キットの利用価値がより高まると考えられます。

以上によって、創薬研究を活性化します。

III. データベース・バイオインフォーマティクスによるスクリーニング支援

上記Iで評価した化合物の構造と活性情報を整理し、ウェブ上および印刷物で一般に公開します。また、上記IIでユーザーより報告された標準阻害剤キットの新たな生物活性情報を整理し、ウェブ上で公開します。それらに加え、分子標的薬を中心とした新薬について、その開発状況を整理し、ウェブ上で情報公開します。