化学療法パイロットライブラリー
(担当:長田 裕之)
【化学療法パイロットライブラリーの概要】
化学療法パイロットライブラリーは、既知の抗がん剤によるスクリーニング系の評価、新しい抗癌剤リードの探索などに使用することができるスクリーニング用化合物ライブラリーです。
理化学研究所・天然化合物バンク(NPDepo)が収集した化合物の中から、既知の抗がん剤や、その類縁化合物を選び出し、これに構造多様性に着目して選択した生物活性未知の化合物を加えて、スクリーニング用化合物プレートを作成します(図1)。
2010年度は、160化合物を搭載した2枚の96ウェルプレートをリリースします。2011年度以降も同様の化合物プレートを作成する予定です。
図1. 化学療法パイロットライブラリー
A2~H11の80ウェルに、それぞれ化合物が10mg/mLのDMSO溶液として5uL(50ug)ずつ分注されています。A2, B2, - H2の8ウェルに搭載されている既知の抗がん剤は、名称および化学構造を公開しますが、その他の化合物は情報を開示していません(表1)。
生物活性未知の化合物は、NPDepoがライブラリー化した化合物を化学構造に基づいて分類した約400クラスターの中心化合物です(図2)。それぞれの化合物には、同じクラスターに分類された、数十から数百の類縁化合物が関連付けされています。
図2. 構造多様性を有する化合物ライブラリーの構築法
【化学療法パイロットライブラリーの内容】
既知の抗がん剤以外の化合物については、その名称および構造は非公開です。V底96ウェルプレートの80ウェル(A2〜H11)には、それぞれ異なる化合物が10mg/mlのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液の状態で5μLずつ分注されています。アッセイ結果は、専用のエクセルシートに4段階評価(-,+,++,+++)で記載してください。
【化学療法パイロットライブラリーの利用方法】
化学療法パイロットライブラリーの利用を希望される方は、本支援活動班にお知らせください。一定の審査・手続きの後、化合物プレートをお送りしますので、受領書を返送ください(図3A)。
化合物情報を開示しておりませんので、分子量範囲を参考に重量濃度で活性評価を行ってください。
評価結果はデータシートに記載し、これを添付して、本支援活動班に結果報告をしていただければ、ヒット化合物の名称および化学構造を通知します(図3B)。
引き続き、ヒット化合物の再提供、および、ヒット化合物の類縁化合物の提供を希望する場合は、本支援活動班に依頼してください(図3C)。
本支援活動班への依頼に基づいて、理化学研究所・NPDepoからヒット化合物と類縁化合物を提供します。
提供する化合物数と容量は、ヒット化合物数、活性評価系のスループット、活性評価系に応じて決定します。なお、理化学研究所・NPDepoからの化合物提供には、利用者登録、化合物移転契約(MTA)または共同研究契約などの締結が必要となります(図3C)。
利用者登録書に必要な書式は、理化学研究所・NPDepoのウェブサイトからダウンロードすることができます。
(http://www.npd.riken.jp/npd/ja/manual/registration)
図3. 化合物ライブラリーを利用するための手続きと流れ
表1.予定している化学療法化合物ライブラリーの化合物リスト(一部)