低酸素誘導因子(HIF)阻害活性の評価
(担当:掛谷秀昭)
固形腫瘍内などの低酸素環境下に曝されている細胞の生存には、Hypoxia-inducible factor(HIF)が重要な役割を果たしている。そこで、HIFをターゲットとした分子標的治療には大きな期待が寄せられている。本測定系ではHIF-1/HIF-2のDNA結合配列(HRE; hypoxia response element)をルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したプラスミドをレポーターとして用いたCell-based assayにより、提供化合物のHIFシグナル系に対する阻害効果を評価する(図 HIF-1制御機構・例)。
図 HIF-1制御機構・例
【方法】
レポーター遺伝子を組み込んだヒト線維肉腫HT1080細胞を96ウェルプレートに1x104/ウェルで播く。翌日、検定化合物(10 μM)を添加し、その1時間後、低酸素環境下(1% O2)での培養を開始する。約18時間培養後、細胞溶解液を調製してそのルシフェラーゼ活性を測定する。また、同じ細胞溶解液に対してBradford法により相対的な蛋白質濃度を測定する。ポジティブコントロールにはカンプトテシン(0.5 μM)を用いる。
【活性の評価】
1次評価:検体濃度=10 μM
陽性判定基準:
「HRE-Luc阻害活性が50%以上認められ、かつ、無処理群に対する蛋白質濃度が70%以上保持されている。」
10 μMで細胞毒性と判断された場合、濃度を下げて行う。
2次評価:検体濃度=0.1, 1, 10 μM
HRE-Luc阻害活性および無処理群に対する蛋白質濃度を測定する。0.1 μMでも細胞毒性と判断された場合、さらに濃度を下げて行う。
50%阻害濃度が、
0.1μM 以下=「有効(+++)」、0.1〜1 μM=「有効(++)」、1〜10 μM=「やや有効(+)」